英語で研修 / 失敗談 / 研修設計
「これ、何のためにやってるんですか?」初めての英語研修で、ドイツ人社員に言われた一言
「Why are we doing this?(これ、何のためにやってるんですか?)」。あのひと言に、私は一瞬、言葉を失いました。研修講師になって間もない頃、ある会社の外国籍社員向けの研修を、初めて英語で担当したときの話です。
気合は十分だった
当時の私は、「バイリンガルで、グローバル対応もできる講師」として売り出したくて、気合は十分でした。資料も英語で作り直し、発音も練習し、準備に自信がありました。
講義を始めて1時間ほどたったころ、ドイツ人の社員の方が、私が話している最中にすっと手を挙げました。「ケント、これは何のためにやっているんですか?」。
正直に言うと、私はその場で、うまく答えられませんでした。研修の目的は、頭の中にはありました。でも、受講者に伝えていなかった。私は「日本の研修」のつもりで、まず内容から入っていたのです。
何が起きていたか
日本の研修では、受講者は目的を聞かされなくても、とりあえず座って聞いてくれます。それが礼儀だからです。私はそれに甘えていました。
でも、彼にとっては違いました。目的が分からないまま1時間座ることは、時間の無駄であり、むしろ失礼なことでした。彼の質問は、嫌味でも反抗でもなく、まっとうな確認でした。私の準備は「内容の準備」であって、「受講者の準備」ではなかったのです。
あの日から変えたこと
それ以来、私はどの研修でも、いきなり本題に入りません。最初に、この研修を何のためにやるのか、今日どこまで行くのか、あなたにとって何の役に立つのかを、受講者と一緒にそろえます。期待していたものと違うと感じている人がいれば、その場で聞いて、その場で答えます。
いまの私の研修は、冒頭の30分ほどがこの時間です。「長すぎませんか」と言われることもあります。でも、ここをやると、その後の演習の空気がまったく違う。受講者が「やらされている」から「自分のためにやっている」に変わる。あの日のドイツ人の方が、それを教えてくれました。
これから研修を受ける方へ
もし、私の研修に参加される予定の方がこれを読んでいたら、一つだけお願いがあります。「これ、何のためにやってるんですか?」と思ったら、遠慮なく聞いてください。それは、私にとって一番ありがたい質問です。答えられない研修なら、やる意味がありません。
研修でお会いする方へ
当日がどんな一日になるか、先にお伝えしています。

