「これ何のためにやってんの?」と外国人社員からいきなり質問…。外国人社員向け企業研修の“失敗と学び”

Mar 21, 2025

"Why are we doing this?(これ何のためにやってんの?)" ― そのひと言に、私は一瞬、言葉を失った。

 

人材育成コンサルになって間もない頃、私はある企業の外国人社員向けの異文化理解研修を、初めて英語で担当することになった。

 

当時は「バイリンガルで、グローバル対応もできる講師」として売り出したくて、気合い十分だった。けれど、今思えば準備の仕方も、心構えも、“日本的” なままだったと思う。

 

講義の冒頭、開始から1時間くらいしたところで、ドイツ人の社員の方が、私が講義をしているさなか、スッと手を挙げてこう言った。

 

「ケント、Why are we doing this?(これ何のためにやってんの?)」

 

怒っているわけでもない、場をかき乱そうとしているわけでもなかった。ただ彼の目は真剣だった。続けて彼は、「このエキササイズ(演習)のやる意味を、ちゃんと理解してから進みたい」

 

私は、めちゃくちゃ戸惑った。

「もしかして、ここまでの俺の英語の講義、全然理解されていなかったのでは・・・?」

 

そしてすぐに、ある記憶がよみがえった。

あれは20歳の時、ニューヨーク州立大学に通っていた際、クラスでグループワークを行った。

 

言葉に詰まり、議論に入れず、ただ時間が過ぎていく自分がいた。 私の英語力が問題ではなかった。

 

問題は、「とりあえず空気を読む」「様子を見る」という日本的マインドを、無自覚に私が持ったまま、議論に参加していたこと。そして、その文化的違いを意識できずに、全く対応できていなかったこと。

 

そんな苦い経験を山ほどNYで詰んだことで、卒業する頃には英語でも立派に議論ができ、ディベートでも勝てるようなマインドも英語力もついていた。

 

そして、今度は“教える側”になった私は、日本でも海外でも研修ができる講師を目指していた。この英語で実施する異文化理解研修も鼻息荒く準備していた。自信もあった。

 

けれど今回も、あの時と同じように、日本人受講者に対峙する時と同じマインドのまま、日本人向けの空気感のまま、外国人に英語で講義をしていたようだった。

 

  • 「日本では先生の話はそもそも聞くものだ。」
  • 「みんなが演習やっているなら私もやらなきゃ。」
  • 「なんかよくわからんけど、この研修の意味を自分なりに理解しよう。みんなそうやっているし。クラスで質問はしないで、とりあえず空気読もう。」

というマインドを自然と持ってくれる受講者が日本企業では大半であり、能動的に受講してくれる。

 

講師にズバッと質問を切り込む人は、普段はほとんどいない。

 

講師が多少荒く不明瞭な説明やディレクションをしても、なんとか研修を成り立たせようとする。滞りなく進めようと能動的に察してくれる。それが日本人受講者だ。

 

だからこそ、ドイツ人の受講者が放ったそのひと言が、私の講師としての自信をぐらりと揺らした。

 

そしてこの時、マインドの切り替えを「講師として教える際」にもできていなかったのだと、気がついた。

 


どうでしょう!冒頭、小説チックに書いてみましたが、これは実話です。

 

今では英語で問題解決力の研修などゴリゴリこなしていますが、初めて登壇した日は、こんな状態だったのです。


あの日、私は日本人受講者と外国人受講者との違いに明確に気づいた日でした。その違いとは、

 

日本人以上のハイコンテクストはいない!なので、相手が外国人の場合は徹底して言葉でディレクションしてあげないと、彼らは混乱する!

 

これは本当に大事なポイントです。20歳のとき「マインドを切り替えないとうまく伝わらない」と学んだはずなのに、完全に忘れていたようです。

 

日本人は相手や状況を理解しようとする力がとてつもなく強い!

 

ゆえに講師の説明や運営が下手でもなんとか情報を消化しようと頑張ってくれます。なんなら、理解できていない自分が悪いのでは?と自責で向き合ってくれる人も一定数います。

 

 

外国人社員に通用しないディレクションとは?

一方で外国人受講者の多くは、徹底的に口頭で具体を話さないと理解してくれません。例えば、講師が以下の文章を読んだ場合に、日本企業で日本人受講者相手だと問題なく演習が進みます。皆さんは理解できますか。

「それでは皆さん、今からペアワークを行います。先ほど作っていただいた「自分の強みの紹介シナリオ」を、ペアに発表してみましょう。発表時間は最大1分です。そしてその発表の姿をペアの方にご自身のスマートフォンで撮影してもらってください。後から自身で確認できるようにしてください。そして撮影は全身が入るようにしてくださいね。よろしいですか?一人が終わったらペアの方の発表も同じように撮影してあげてくださいね。それではペアと一緒に部屋のあちこちに散らばり、各自撮影を開始してください。制限時間は5分間。5分以内にペアと発表&撮影を終わらせて席に戻ってきてくださいね。では行きます、よーいスタート。」


いかがでしょうか。皆さんも問題なく理解できるし、何をすれば良いかイメージはつくはずです。

 

ですが断言します。外国人社員相手にこのディレクションは一発アウトです。ほぼ100%通じません。

 

なぜか・・・。それは、まずあまりにも情報量が多すぎるからです。

さらに外国人社員の多くは研修慣れを全くしていないことが多いです。なので、撮影といわれてもよくわからないし、ペアで5分以内で演習完了と言われても、一人2分半づつぐらい使えるからそのように行動しよう、と瞬時に考えない人が大多数です。

 

何を、どのように、誰が行うのか、明確に口頭で言わないと、なんとなくでは伝わりません。なんなら「スマートフォンだしてくださーい」「それでは次に撮影アプリ、たちあげてくださーい」これくらい一歩づつでも問題ないです。

 


日本人相手にそのようなファシリテーションを行えば、すこしゆっくりすぎるように感じるかもしれませんが、外国人相手に英語で行う場合は少しずつ見せながら一緒に行うのがベターです。 

 

しかし、そもそもだけど、日本人に対して行っているような、時間をきっかり決めて行う演習やワークを外国人向け企業研修で行うべきか、という疑問も出てきます。

 

これに関しては受講者の人数、外国人社員の割合、年齢、ビジネススキル習得度合いによると思いますが、私は基本的にはきっかり決めて行うことはしないほうが良いと思います。

 

この辺りもしっかり把握した上で企業研修を設計しないと、詰め込み型のコンテンツになってしまったり、完全なる消化不良のものになってしまいます。これに関してはまた次回書いてみようと思います。

 

以上です。

少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

 

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